Diabetes

糖尿病外来

はじめに

〜あなたの生活に寄り添い、合併症を防ぐための専門的サポート〜

院長先生

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、糖尿病が強く疑われる人は約1,000万人、さらに糖尿病予備群も約1,000万人とされ、合わせて約2,000万人が血糖値に異常を抱えていると推計されています。これは日本の成人の約6人に1人が糖尿病またはその予備軍という計算になります。
糖尿病は「適切なタイミングで」「正しい知識をもとに」「継続的に」取り組むことで、合併症を防ぎ、健康的な日常生活を保つことができる病気です。
武越内科クリニックでは、日本糖尿病学会専門医の院長による丁寧で的確な診療を行っており、糖尿病という慢性疾患と、患者さまが無理なく付き合い続けていけるよう、生活習慣や個別の背景に合わせたオーダーメイドの医療を提供しています。

糖尿病について

糖尿病は、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が慢性的に高い状態が続く病気で、主に以下の3つのタイプに分類されます。

  • 1型糖尿病
    1型糖尿病は、自己免疫疾患などにより膵臓のインスリンを作る細胞が破壊され、体内でインスリンがほとんど作られなくなる病気です。遺伝的要因やウイルス感染などが関連すると考えられていますが、生活習慣が原因ではありません。多くは小児期から思春期に発症しますが、成人発症もあります。インスリンが不足するため、のどの渇き、多尿、体重減少などの症状が急激に現れ、生涯にわたるインスリン補充療法が必要です。
  • 2型糖尿病
    2型糖尿病は、遺伝的要因に加え、過食、運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣が深く関わる病気です。インスリンの分泌量が不足したり(インスリン分泌低下)、インスリンが十分に効かない状態(インスリン抵抗性)になることで発症します。初期には自覚症状が少ないことが多く、健康診断で発見されることもあります。治療は食事療法、運動療法が基本となり、必要に応じて内服薬やインスリン注射が用いられます。
  • 妊娠糖尿病
    妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて発見または発症した糖尿病にいたらない糖代謝異常のことです。妊娠中は胎盤から出るホルモンの影響でインスリンが効きにくくなり(インスリン抵抗性)、血糖値が上がりやすくなります。妊娠高血圧症候群や巨大児、分娩時のトラブルなどのリスクを高めるため、適切な血糖管理が重要です。通常は出産後に血糖値が正常に戻ることが多いですが、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高まるため、産後も定期的な経過観察が必要です。

このような症状があればご相談ください

糖尿病は、血糖値が高い状態が続く病気ですが、初期には自覚症状が少ないこともあります。しかし、以下のような症状が複数当てはまる場合は、糖尿病のサインかもしれません。
放置すると重篤な合併症につながる可能性があるため、お早めに当院までご相談ください。

  • 最近、のどが異常に渇く
  • トイレに行く回数が増えた(頻尿)、特に夜間に何度も目が覚める
  • たくさん食べているのに、体重が減ってきた
  • 体がだるく、疲れやすい
  • 目がかすむ、視力が低下したように感じる
  • 両側の手足がしびれる、感覚が鈍くなった
  • 皮膚がかゆい、湿疹ができやすい、なかなか治らない
  • 立ちくらみがする
  • 勃起障害(ED)がある(男性の場合)

糖尿病の治療について

糖尿病の治療は、「血糖値の正常化」と「合併症の予防」、そして「生活の質(QOL)の向上」を目的として進められます。
当院では、以下の3本柱を中心に、患者さま一人ひとりに合った治療方法をご提案いたします。

  1. 食事療法
    食事療法では、摂取カロリーの調整や栄養バランスの見直しを中心に、朝・昼・夕の三食を規則正しく摂ることや、外食や間食の工夫など、日常の中で実践できる管理栄養士による具体的なアドバイスを行います。
    患者さまの体格や活動量、ご職業などを考慮しながら、継続可能な食生活を一緒に設計していきます。
  2. 運動療法
    運動療法については、血糖値を下げるだけでなく、インスリンの効きを良くしたり、内臓脂肪の減少や血圧・脂質の改善にも効果があります。
    当院では、患者さまの体力や既往症に応じて、ウォーキングや軽い筋力トレーニングなど無理のない運動プランをご提案し、継続しやすい形での運動習慣の確立をサポートしています。
  3. 薬物療法
    生活習慣の改善だけでは血糖値のコントロールが難しい場合には、薬物療法を併用します。現在の糖尿病治療では、患者さまの体質や病態に合わせて多くの内服薬や注射薬から選択が可能です。たとえば、インスリンの分泌を助ける薬、糖の吸収を抑える薬、尿から糖を排出する薬などがあり、必要に応じてインスリン注射やGLP-1受容体作動薬の導入も行います。当院では、副作用のリスクを抑えながら、患者さまの生活に負担がかからない最適な薬剤の選択を心がけています。

糖尿病は長期的に治療を続けていく病気であるため、信頼できる医療機関との関係や、治療への意欲を保つことが大切です。
当院では、医師による定期的なフォローに加え、看護師や管理栄養士とも連携し、患者さまが安心して治療を続けられる体制を整えています。通院や日常生活に関するお悩みにも丁寧に対応し、前向きに治療へ取り組めるようサポートしています。

糖尿病の合併症について

無散瞳眼底カメラ

糖尿病で注意すべきなのは、血糖値の高い状態が長く続くことによって生じる「合併症」です。
糖尿病そのものは自覚症状が乏しいことが多いのですが、実際には体の中でじわじわと進行し、気づいたときには重大な健康被害が出ているケースも少なくありません。そのため、合併症の早期発見と予防は、糖尿病治療の重要な目的の一つです。

代表的な合併症

  • 糖尿病網膜症
    糖尿病が進行すると、目の奥にある網膜という組織の細い血管が障害され、視力が徐々に低下していく「糖尿病網膜症」を発症することがあります。初期には自覚症状がほとんどなく、異常に気づかないまま進行してしまうケースも少なくありません。重症化すると網膜剥離や視力障害が生じ、最悪の場合は失明に至ることもあるため、定期的な眼底検査による早期発見が非常に重要です。
  • 糖尿病腎症
    高血糖の状態が長く続くことで、腎臓の血管が傷み、腎臓の機能が徐々に低下していきます。進行すると腎機能障害が悪化し、むくみや貧血、高血圧などの症状が現れるようになります。さらに悪化すると腎不全となり、人工透析が必要になることもあります。糖尿病は透析導入原因の第1位であり、日常的な血圧管理や尿検査を通じた早期対策が欠かせません。腎症が生じた場合、食事のタンパク量の制限が必要になります。
  • 糖尿病神経障害
    慢性的に続く高血糖や代謝障害により、末梢神経がダメージを受け、手足のしびれや痛み、感覚の低下などの症状が現れるようになります。進行すると熱さや痛みに気づきにくくなり、足にできた傷ややけどに気づかず悪化させてしまうケースもあります。また、自律神経にも影響を及ぼすと、立ちくらみ、便秘、下痢、胃もたれ、排尿障害、性機能低下など、生活の質を大きく損なう多様な症状が見られます。
  • 動脈硬化による疾患
    糖尿病の影響で血管の内側に炎症や損傷が起こり、動脈硬化が進みやすくなります。その結果、血流が悪くなり、心臓や脳の血管が詰まる「心筋梗塞」や「脳梗塞」といった命に関わる重大な疾患を引き起こすリスクが高まります。糖尿病がある方は、動脈硬化が進行しやすい状態であるという認識を持ち、定期的な血液検査や心電図検査、頸動脈エコーなどを活用しながら、リスク管理を行うことが重要です。

これらの合併症はいずれも、早期に発見し適切に対処することで進行を抑えられる可能性があります。
当院では、糖尿病治療と並行して合併症の早期発見・予防に注力しています。合併症のリスクを正しく理解し、予防と早期対応を習慣化することが、将来の健康を守る第一歩となります。

糖尿病予備軍のかたへ

腎尿路系検査

健康診断で「血糖値が高め」と言われた方や、HbA1cが基準値に近い方は、糖尿病予備軍(境界型糖尿病)かもしれません。現在は症状がなくても、そのまま放置すれば将来糖尿病へ進行する可能性があります。
ただし、この段階で生活を見直せば、糖尿病の発症を防ぐことは十分可能です。実際に、生活改善に取り組んだ多くの方が、正常な血糖値に戻ったという報告もあります。
当院では、糖尿病予備軍の方に対して、専門医が血糖値や生活習慣を丁寧に確認し、無理なく続けられる改善方法をご提案しています。ご希望の方には、管理栄養士による食事アドバイスも受けられます。
「まだ大丈夫」と思っていても、体の中では変化が始まっているかもしれません。今のうちに取り組むことで、将来の健康を大きく守ることができます。「運動しなきゃと思っても続かない」「食事制限がストレス」という方にも、無理のない改善方法を一緒に考え、寄り添いながらサポートします。
少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

糖尿病治療中のかたへ

糖尿病は長期間にわたって付き合っていく必要のある病気です。すでに糖尿病の治療を続けている方の中には、薬を飲み続けることに不安を感じる方も多く、「薬を飲んでいるのに血糖値が安定しない」「インスリンの量を減らしたい」「今の治療法が自分に合っているか分からない」といった不安や迷いを感じている方も少なくありません。
糖尿病は長く付き合う病気だからこそ、その時々の体調や生活環境に合わせて、治療の内容を見直すことが大切です。当院では、現在の治療状況を丁寧に確認したうえで、よりよい血糖コントロールを目指すための再評価や再設計を行っています。
「このままでいいのか不安」「もっと良い治療法があるのでは」と感じたときが、見直しのタイミングかもしれません。初めての方でもセカンドオピニオンでも、どうぞお気軽にご相談ください。

当院でできること

  • 治療方針の見直し
    現在の薬物療法やインスリン注射の内容が本当に合っているかを再評価し、必要に応じて変更をご提案します。
  • 生活状況に合わせたアドバイス
    お仕事、家族構成、通院頻度などを考慮した上で、患者様のライフスタイルに適した治療法をご提案します。
  • 多職種連携によるチーム医療
    医師、管理栄養士、看護師などのスタッフが連携し、食事・運動・服薬管理を多角的にサポートします。
  • 合併症リスク管理
    治療経過に応じて、眼科や腎臓内科との連携紹介も行っており、必要があれば提携病院への紹介もスムーズに対応します。